12月に突入しました。今年もはや、残り1ヶ月です。
今年ろくにエロゲレビューできていないなと思いつつ、あと何本かレビューしたい今日この頃です。

さて、今回はHoneyComing re:comingのレビューを行います。例によってネタバレ多いです。ご注意ください。
このゲームは去年の暮れに相互フォロワーさんからお勧めされまして購入した次第です。

ちなみにHoneyComing re:comingは元々@HoneyComing RoyalSweet初回特典ですが、今はDMMさんのDL販売で購入することが可能です。かくいう私もそうして買ったくちです。

感想に進む前に少し。
HoneyComingと比較してシステム方面があれこれ変化しているので、『 HoneyComing 』のレビューにはならない部分があるのでご注意ください。


( ※オフィシャルアカウントだとさくらビットマップまでしかムービーがYoutubeにアップされていないのです )

総合:A-
UI:A
ビジュアルノベル部分:B+

1ルートざっくりとですが8~12時間くらい。
オマケシナリオをまだプレイしていないのですが、トータル55~60時間くらいだと思います。ボリューム多いです。
エンディングのあとにアフターパートがありますが、アフターパートめっちゃ長いです。


先に悪い点を書きますと、大きく3点あります。
個人的にこれらに加えてあと3点あるんですが後述で。

1:無駄にシナリオが長い
2:エピローグに進むタイミングが悪い
3:核になる恋愛授業が活かされている部分が少ない

1:無駄にシナリオが長い
長いです。上のとおり1ルート大ボリュームです。
問題は山場はいくつかありますし賑やかなんですが退屈し易いです。
そして2の問題と密接に絡んできます。

2:エピローグに進むタイミングが悪い
普通、ADVって山場の直後にEDやエピローグに進むのが大半です。
このゲームの場合、EDのあとにアフターパートがあり、そのあとでエピローグに進みます。

問題はアフターパートの途中にも山場があるのですが、エピローグは山場の直後じゃなくてそのあと日常パートがそこそこ続いたあとで訪れます。
具体的に未央ルートをざっくり例に出すと、

日常→告白→日常→演劇→ED

までは良いのです。
このあと、二度目の演劇としてロミオとジュリエットの配役を任され、猛特訓します。
ところが肝心のロミオとジュリエットを上演する場面がありません。特訓の途中でエピローグに進みます。
じゃあエピローグでロミオとジュリエットを上演するのかというとそんなことはなく、次の年まで一気にジャンプします。肩透かしなのです。

と、このようにエピローグに入るタイミングが悪いのでモヤモヤっとした気持ちになります。
盛り上げるだけ盛り上げておいて放置プレイはそりゃないよーな気持ちになってしまいます。

3:核になる恋愛授業が活かされている部分が少ない
ウリになっている恋愛授業が活かしきれていません。
どのルートに進んでも良い動きになるのがラブレターの授業。
あと密接にシナリオに関わってくるのは朝陽ルートくらいです。他のルートではイチャラブやギャグに貢献してもギミックとして機能しきれていません。



上記3点が恐らく大多数の方が首を傾げる部分だと思います。
そして以下の3点が私が気になった点です。

4:サウンドモードでオートリピート機能がない
5:見かけイチャラブメインエロゲのようで意外とシリアス多め
6:コウ君の性格

4:サウンドモードでオートリピート機能がない
2007~2009年発売エロゲでオートリピート搭載型がどれくらいあったかわかんないんですが気になりました。
良い曲結構あるだけにオートリピートできないのは辛いですね……。

5:見かけイチャラブメインエロゲのようで意外とシリアス多め
どのルートに進んでもシリアスパートが出てきます。
唯一未央は薄めと言えますが他の4ルートのシリアスが強め。特に由馬は設定が重くて途中まで戸惑っていました。
いずれのシリアスパートも無事に解決されるので良いのですが、麻里乃だけはギャグ寄りの終わり方ですがかなり気になりました。詳しくは各ヒロインの感想にて。

6:コウ君の性格
コウ君こと主人公の緒方光一郎君ですが、悪い意味で気になってしまう主人公君でした。
鈍感なのはまだ良いんですよ……ちょっとデリカシー無さ過ぎて気にならざるを得なかったです。
江戸っ子気質とは違いますが、偉そうとも違うのですが~やると上から目線的な台詞が悪気が無く飛び出すのであまり良いイメージを抱けません。
朝陽ルートはこの部分が良い部分として昇華する展開になるので、朝陽ルートの主人公君は前半と後半で見え方がまるで変わるのでとても良かったです。
余談ですがコウ君のシャツのデザインマーク、当時のHOOKSOFTさんのマークロゴですよね多分。



以上、悪い意味で気になった点でした。
ココからはUIや各ルートの感想に触れていきます。

まずUI方面。
HoneyComing re:comingでは珍しく3つの攻略難易度からひとつを選択できます。
そのうちのひとつ、イッチョクセンモードはHoneyComingのオンリーワンモードを何度も選べるようにしたモードです。

具体的にはそのヒロインのみ攻略できるようにするモードですね。
さらにクライマックスではヒロインの声優さんが歌うキャラソングが入りますし凄く良かったと思います。プレイする場合はイッチョクセンモードお勧めですね。

相当前のエロゲ(無印が2007年、reが2009年)なのでバックログなど利便性の高い昨今の機能はありませんが、一通りの機能は揃っているのでプレイに支障はそこまでありません。
ただしボリュームが上記のとおりとても多いので、セーブ100箇所は物足りないと思いました。



次にBGM方面。
粒揃いで場面を盛り上げる曲が多く収録されています。

イチャラブだけでなく、ギャグも多めなのでアッパーで賑やかな曲も多く、それぞれ対になるようにアクセントになっています。
私が特に好きなBGMは『 Sorrow(トラック27) 』 、『 Only Sleeping(トラック18) 』、『 Love is Leamt(トラック34) 』辺りです。
特にLove is Leamtは恋愛授業で流れるBGMですが、お約束テーマのような働きになっているので聴くと物凄い安心感があります。

ボーカル方面だとED曲の帰り道が特にお勧め。聴くとほんわかしてノスタルジーな気持ちになる超名曲だと思います。
キャラソン方面だとクレアのキャラソン、『 天使のくれたseason 』と由馬のキャラソン、『 あなたのために 』がお勧め。
残念ながらゲーム内のサウンドモードではインストゥリメンタル版しか聴けないので、フルバージョンが聴きたい方はHOOK SOFTさんのベストアルバムを買いましょう。
amazonさんのサイトならDL販売も行われています。

HOOKSOFT Vocal Collection My Little Stars



次に背景方面。
個人的にHoneyComing re:comingで特に良かったと思った部分です。
具体的に何処がというと、絶妙に建物の描写に年季が入っていたことです。酷い言い方をするとボロさ加減がとても良かったです。
昨今のエロゲの建物の背景は、綺麗過ぎ……彫刻のような美しさで描かれているものが多いです。

このゲームは違います。微妙にタイルが剥がれ落ちていたりヒビが入っていたり年季を感じさせる背景が多いです。
特に病院の背景は絶妙でした。町病院っぽさが溢れていてとても良かったです。



次にH方面。
各ヒロイン2シーンずつと当時のエロゲでは平均水準の回数です。
濃い薄いでいくと薄いですが、1シーンにつき1枚絵を3枚使っているのでとても豪華です。
あと薄いといってもシーンはそれなりに長く、それなりに描写されているので決して実用性が全く無いってことは無いと思います。朝陽の2番目のシーンは2枚目の構図が扇情的でえっちぃかったと思います。



次にサブキャラ方面。
立ち絵があるキャラも立ち絵が無いキャラも濃いキャラが多く、とても印象に残ると思います。
特に印象に残るのが教師2名(苺先生、司先生)とコウ君のお父様の肇さん。

恋愛授業の教師は男女1名ずつってルールがあるの、クリア後にwikipediaを見て気付きました。それであのルートのラストはそういう展開になったのね、と。
司先生がなまじ程よく女性キャラっぽい振る舞うので油断すると男性キャラなのを忘れちゃいますね……。
苺先生は演じるのがまきいずみさんですが、ほわほわーとしていないキャラをまきいずみさんが演じることそのものがレアだと思うので役得な気分になりました。

肇さんは朝陽ルートをプレイするまでは愛の化身みたいな人なので、離婚理由がとても気になっていました。
特別言及されませんが、朝陽ルートでそれとなく理由の予想ができる造りになっているので、より世界観を楽しむには全ルートプレイしないとわかりません。

立ち絵の無いキャラでとても好きなのは料理長のジョン・山口さんです。
この方、どのルートに進んでも良い立ち回りを演じてくれます。シナリオに直接絡むことは無いと思いきや、思ったよりも絡む機会があるので意外でしたね……。

嫌いなキャラは西園寺君。
理由は言わずもがな、麻里乃ルートでの彼の所業ですね。詳しくは麻里乃ルート感想にて。



それでは各ヒロインルートの感想。
クリアした順に書いていきます。冒頭でも書きましたが(一定の配慮をしているとはいえ)ネタバレ過多なので未プレイの方は注意です。





・前園Clarissa皐 
CV:桃井いちごさん

先輩ヒロイン。
確かぶっちぎりで人気投票1位だった気がします。相互さんも強く推しているヒロイン。
イタリア人の父と日本人の母の血を引くハーフのヒロインで、愛称としてクレアと呼ばれています。
敬愛されど先輩風を感じないので先輩ヒロインらしさは感じません。
イタリア語がちょくちょく出てくるのがアクセントになっていて、桃井いちごさんボイスも相まってとても好印象です。

シリアスと無縁そうで実は生い立ちがかなり重く、本編内の時間軸でも結構重い展開があるので中盤まで胸が辛かったです。
特に聖母・天使といっても過言ではない優しい性格が作られる要因が要因だけに同情を禁じ得ませんでした。

前半後半と二度に渡ってシリアスパートが展開します。
前半はとあるキャラとひと悶着あります。
どうしてそういうことするの……と思ってしまったクチですが、納得のできる範疇だと思います。納得できてもしちゃダメなことはダメだとも思いますけどね。
それでそのキャラがコウ君に惚れる展開は理解できます。理解できますけどココでそれに答える訳には行かないと思いました。
この時点でクレアに対してかなり好意的に動いていますからね。ココで答えてしまうとクレアに対する気持ちを無碍にしていると思わざるを得ません。

後半のシリアスはクレアがクレア自身を再構築していく感じに見えて中々不思議な気持ちになりました。
すれ違いで切なくなりましたね……ココで動くのが上述のとあるキャラ……というのがまた良い展開だと思います。憎しみを愛の力で変えたというか……まさか親友関係に発展するとは思いませんでした。

クレアルートは(恋愛授業以外の)舞台・ギミックの活かし方がとても良いシナリオだと思いました。
クレア自身のキャラがとても癒されるので、そりゃ人気出るわなと思いました。確か専用のミニファンディスク(有料)がありましたよね。

元々コウ君に対して好意的に見ているヒロインなので、個人的に特に告白シーン以降、変化的な物足りなさを感じました。
ただ元々が元々な性格なので、1日1日を噛み締めて癒し癒される余韻の良さが溢れていたと思います。





・七里由馬
CV:こいでりこさん

先輩ヒロイン。
口数が少なく、喋る時は遠慮が無い物言い。さらに華奢な見た目に反して大食いキャラです。
大食い属性を活かしたイベントがそこそこありますので内面を知らないままだとギャグキャラに。……中華屋さん潰れるでしょこれは。

シリアスと無縁だと思ったら一番シリアスなシナリオ。中々胃が痛かったです。
付き合うまではそっけない上に自殺未遂やボヤを起こしてどうなるんだこのルート……とヒヤヒヤしながらプレイしていました。

5ルートの中で唯一超常現象と書くと夢も希望も無いですが、ファンタジーな展開があります。ベタベタですがグッと来ましたです。
由馬先輩が自身を攻めるのはもっともだと思います。周りが説得するんじゃなくて自身で納得するしかないんですよね。
それでいて、途中、由馬先輩のお母様が登場するんですがかなりショックでしたね……それだけに快復する展開は胸が温まりました。
ちなみにお母様の声優さん海原エレナさんですね。物凄く聞き覚えがあるなーと思ったら大御所さんでビックリです。

由馬先輩は前半と後半で印象がガラリと変わるヒロインです。
特に笑顔を見ることができる告白シーン以降はグッと来るのではないでしょうか……朝陽ルートをプレイするまでは暫定1位の感想になりました。
デレ期から一気に可愛く変貌します。元々捉え所が無いヒロインですが、後半はコウ君に集約・依存していくので……いやーもう可愛かったです。
特に良かったと思うのが観覧車イベント。一番好きなのはベタだと思いますがお母様が『還ってくる』シーンですね。泣きそうになりました。

由馬先輩に限ったことでは無いですが、ハニカミって全体的に家族間で問題があったり家族愛が活かされる場面が多いんですよね。
由馬先輩は特に顕著だと思います。家族愛に対してどのような見方をするかで、由馬先輩ルートの印象はガラリと変わるのではないでしょうか。





・多賀谷麻里乃
CV:越智悠さん

後輩ヒロイン。
前代未聞の洗濯バサミを髪留めのアクセとして使っているヒロイン。当時かなり話題になっていた覚えが。
お金持ちのようで実は貧乏(元お金持ち)……というテンプレートヒロインタイプ。
裏が見えてくるととてもたくましく見えるヒロイン。口調はお金持ち口調と粗雑口調が入り混じって中々特徴的になっています。
上記の境遇の上、弟妹のお世話もしている(父母は健在)ので家庭力バツグンです。

最初はコウ君を敵認定していますが、護君の事故をきっかけに一気に距離が縮まります。
好意を隠し切れないタイプなので途中から可愛さにブーストがかかってきます。素晴らしかったです。
5人のヒロインの中で一番告白までの期間が短く、シリアスはあれどイチャラブの期間をとても長く楽しめます。シリアスパートも長めですが……。

欠点は上記にも書いていますが麻里乃ルートで登場する西園寺君の存在。
基本的にやることなすこと空周りのギャグキャラなのですが、麻里乃シナリオにおいてはとても悪印象を抱くキャラになります。

具体的に書くなら徹底して裏工作を図ることにより、下手すりゃ一家離散or一家心中コースな展開になります。
イチャラブエロゲである以上、ハッピーエンドは確約されたようなものでありますが、その前提が無ければかなりヒヤヒヤすると思います。

あと上記の展開でギャグ的なオチで終幕が図られますが、上記のような大惨事寸前まで麻里乃たちが追い込まれたにも関わらず、彼女たちに対して謝罪ひとつだけで十分な『賠償・補償』的な展開にならなかったのは残念だと思いました。個人的に西園寺君の暗躍以上に気になった点です。
西園寺君そのものには十分な結末が訪れますが、ちょっとこれはモヤモヤしちゃいましたね……。

麻里乃はどちらかというと恋愛授業に後ろ向きでコウ君と同じく頻繁に脱走を図るヒロインですが、告白シーン以降の恋愛授業はとても良かったです。
特に良かったと思ったのはハートのネックレスとリボンのイベント。
後者は普段は洗濯バサミを付けているのがリボンになるので、見た目の変化でグッと来ました。……洗濯バサミに見慣れすぎていたので違和感も凄かったですが。

コウ君の境遇が大きく変化するのも麻里乃ルートの特徴。
バイトシーンが特に好きですね。新婚夫婦っぽさが滲み出ていててとてもほんわかしましたです。店長の影が薄くなっちゃう(汗

個人的に特に余韻が良かったと思うルートのひとつです。
コウ君に対して最初の好感度がとても低いので、後でも先でもどのタイミングでプレイしても問題ないかと思います。





・緒方未央
CV:桜川未央さん

義妹ヒロイン。
声優さんとヒロインの名前が一致という珍しいケース。
コウ君の実のお母様は顕在ですが、未央の実のお父様は過労で亡くなっています。
朝陽ルートでこの事実が判明するんですが急なシリアス情報に狼狽しちゃいました(汗

シリアスというよりは切ないヒロイン。
元々朝陽もそうですが、この2人は本編が始まる前からコウ君のことが大好きなので、ほかのヒロインルートで結ばれると短いですが失恋シーンがあります。ちょっと辛かったです。

さて朝陽と違い、最初からコウ君を慕っているので告白前・告白後で変化感があまり無かったのは残念です。
兄妹感を活かすイベントも物足りなかったです。見方を変えればそれだけ兄妹で付き合っても寛容・順応する良い学園なのだなぁとも思います。

演劇部という大掛かりな属性がありますので、中盤以降とても見応えがありました。
特に最初の演劇シーンはベタですがとても良かったです。EDへの導入が完璧だと思いました。

それだけに上のほうでも書きましたが、エピローグに進むタイミングで大きい不満が噴出してしまいます。
肝心の上映場面が無いのなら、ロミジュリで主役に抜擢する流れを入れないほうが、プレイヤーに希望を抱かせる展開にならないのでずっと良い余韻になったでしょうに……。

5人のヒロインの中で一番印象に残る告白シーンが未央ルートだと思います。
終始一貫で演劇という属性を活かされたルートですので、統一感が綺麗なんですよね……。

学園長のセリフ、
「ええ……私の悲しい思い出を、素晴らしいエンディングに書き換えてくれたわ」
この一セリフで未央とのイチャラブよりも演劇場面のほうが印象に残っちゃいましたね。
そのあとに続く、
「ふふっ……もういいのよ。私の思い出は、私だけのものなのだから」
「だからあなたたちは、あなたたちの思い出を大切になさい」
その通りですよね。

エロゲって、言ってしまえばゲーム内の登場人物が描く人生を追体験しているようなものですが、プレイヤーが抱く十人十色の印象は、その人だけが抱ける記憶になるようなものです。
だからプレイした時に抱いた楽しさや悲しさ、面白さや怒りは大切にしないといけないと、私は思うのです。



・上条朝陽
CV:平野響子さん

幼馴染ヒロイン。
ツンデレというよりはキレデレに近いので嫌う人が多いんじゃないかなぁと思うヒロインです。事実、朝陽ルートをプレイするまではうーんな印象でした。
朝陽ルートは恋愛授業が一番活かされているシナリオだと思います。朝陽自身がロマンティックな恋に憧れているのもあって質が高いと思います。

特にラブレターイベントは全ヒロインの中で一番良い展開だったと思います。
ラブレターは少なくともコウ君が何を書くのかがプレイヤー目線で見ることができるので、ある意味答え合わせ的な展開になります。
ところが朝陽ルートはさらに上を行く展開になっていて、思わず熱くなってしまいました。
付加価値を加えることで全く別のイベントに昇華しているので、この場面を見ただけでも朝陽ルートをプレイしてとても良かったと思いました。

朝陽ルートはコウ君と朝陽の2人だけでなく、他にもいくつかの問題やイベントを解決しながら進むので、ある種グランドルートのような印象を受けます。
特にジョン山口さんの恋愛模様まで描かれるとは意外でした。オチはもっと意外でしたが……。

あと唯一コウ君のお母様が出てくるのも朝陽ルートです。
どうして肇さんは離婚してしまったのかずっと疑問だったのでした。
直接の言及こそないものの、ある程度予想できる答えが提示されますので、肇さんの性格の一端を感じることができました。

朝陽ルートのシリアスな展開はコウ君と朝陽の確執、それに上条家の家族問題。
コウ君が他のルート以上にデリカシーが無さ過ぎるので告白シーンまでは正直なところ、コウ君が嫌いになってしまいました。
悪かった部分が転じて全部プラスに働く告白後を見なければ、物凄く不完全燃焼で終わっていたと思います。

後者の家族問題は表面上それっぽく見えないのがリアルに見えました。
見えないからこそ恐怖感というか、どうしようもなくなっていく様子が怖かったです。それだけにハッピーエンドで終わってホント良かったです。
あと解決する流れで上記にも書きましたが、未央の実のお父様のお話が出てくるので心臓に悪かったですね。

朝陽は直ぐに手が出ますし口も出ます。足も出ます。
コウ君も負けず劣らず直ぐに口が出るので直ぐに口喧嘩のような状態になります。
けれどそれは二人にとっていつもの日常であって、ありきたりの光景なのです。
だからこそベースは変わらずとも、二人の気持ちが変わって行く過程はグッと来ました。

朝陽の内面が繊細なのが複雑な展開になりますが、告白シーン以降はそれらが昇華され、バカップルっぷりを発揮してくれるので一番タイトルに恥じない動きになったと思います。
恋愛を否定したコウ君が一番恋愛を謳歌し、認め、分かち合い、そして広めていくのが朝陽ルートだと思います。
エピローグは胸が熱くなりましたね……そしてどうして女性2人じゃなくて男女2人なのか「あれ?」ってなったのですが、wikipediaを見て司先生が男性であるのを思い出したのでした(滝汗)。

ちなみに朝陽ルートのHシーン2の2番目の1枚絵がHシーンの1枚絵で一番好きでグッとくる構図だと思いました。





以上、書き足りない部分がそこそこありますけど各ルートの感想でした。
上記に加え、HoneyComing re:comingには4つのオマケシナリオが封入されます。
短かったらレビューしようと思ったのですが、予想以上に長い(というか終わらなかった)上に多分付き合うまで展開的にありそうだったので今回は割愛します。
もしプレイしたら追記の形でレビューを加えようと思います。



総評を書きます。
イチャラブを期待して買う場合は期待しすぎると火傷すると思います。
あと不快要素もそこそこあるので、それらが大丈夫な方なら購入しても良いかもしれません。

ただし複数ライターさん作品の上にルートによってコウ君のキャラがそこそこ変わり、またコウ君のデリカシーの無さはどのルートに進んでも目立つので、そこも覚悟がいるかと思います。
けれど決して悪い主人公君ではないのです。反省して自分を省みる力を持った子なので、コウ君の成長物語的に楽しめば良いのではないかと思います。
Hシーンは薄すぎることは無いですが濃いこともないです。ただ『頑張っている』と感じる部分は多々ありましたので、一定のパワーがあるかと思います。
もし買うならFDもセットで買うと良いでしょう。FDのレビューは後日行いますが、本編のHシーンが1人2シーンに対し、FDは1人3シーンあるのでそういう意味でも補完になっていると思いましたので。

以上、HoneyComing re:comingの感想記事でした。