新妻ラブリケの雪さんのルートの感想だと思った? 残念とな恋の感想記事でした。
ということで前々からプレイするプレイする詐欺状態だったので、ALcotハニカム様より発売された、キミのとなりで恋してる! をプレイしました。


このゲームは、

・萌えゲーアワード2014にて金賞・シナリオ賞を受賞作品
・ライターさんがピュアリケで透華先生ルートを手がけていたおぅんごぅる先生
・絵師さんがプラミニで絵師さんを担当されていたもとみやみつき先生

(すみませんぶっちゃけると絵師さんがもとみやみつき先生なので、プレイするまでHOOKSOFT様系列だと勘違いしていましたorz)

さらに悪い評判をほぼ見ず、少し調べるだけでベタ褒めの感想を見かけるってことでポテンシャルの期待値は最初から高かったです。

……ハイ。想像以上でした。
使い易いUI、王道のシナリオ。王道だけで終わらなかったシナリオと文句の付け所が無かったです
いや、難点とは違うんですが2点だけ欲しかった部分があるんですが後述。

まず軽くクラス分けをします。
クラスは上はSSS下はEとなっています。当ブログでは最高のSSSクラスは032までだとプリティケ2フレラバの2作品に判定しています。
総合・UI・ビジュアルノベル部分(絵・シナリオ・ボイス・BGM)の3項目で行います。

総合:SSS
UI:SS+
ビジュアルノベル部分:SSS
(なぎさルートだけで行くとビジュアルノベル部分SSS+)

SSS+を差し上げたいくらい凄まじい作品でした。
余韻だけで行くとフレラバ以上です。

それではひとつひとつ感想を書いていきたいと思います。
例によってネタバレしまくっていますので、記事をご覧になる方はその辺ご注意していただけると幸いです。


まず先にUIの感想から。

・システム系のSEがいずれも絶妙に良いSEが揃っている
・セーブ枠80箇所
・QSQLあり
・セーブ枠にプチ場面情報記載
・バックジャンプ搭載
・エクストラにてサイドストーリー、プロフィール搭載
・小規模のルートロック搭載
・ウィンドウサイズ可変可能←地味に凄い機能

セーブ枠が80箇所なのが若干不満点です。
ただこのゲーム、ミドルプライスでシナリオがそこまで長くないので80箇所で十分だとも思います。私みたいな一部例外の人以外は十二分に事足りるでしょう。

特筆すべきはバックジャンプ機能。
ただのバックジャンプではなくて、そこにカーソルを合わせるとバックログの背景がその場面に切り替わります。とても親切で優しいです。
ちなみにQLでも該当場面が小さく映るのも◎。一言で書くとUI方面これでもかって優しさを感じます。

強いて書くなら……ここまでするなら、選択肢ジャンプ・バックとフローチャート機能も欲しくなっちゃいますけど欲張りすぎだなーって思っちゃいますね……。

小規模のルートロック機能はエクストラの項目で見ることができる、サイドストーリーに搭載されています。
ただこのルートロック機能は最後の最後の大仕掛けとして必要不可欠だと思います。……はい、泣いてしまいました私。
それらのシナリオ感想は後述にて。

あと特筆すべき点として、登場キャラ全員のプロフィールが段階的にアンロックされてわかるようになっています。
特にサブキャラ(名無しキャラ全込み)1人1人にちゃんとフルネームが与えられているのが嬉しい点。
さらにサブキャラのネタの密度が高いので、ひとつの面白さとして成立しているのも嬉しいポイント。
しかも立ち絵のあるキャラは段階的に情報が増えていくので、それを見る楽しさもあります。

サブキャラのプロフィールページはネタ詰め込みすぎて腹筋が痛くなります。
普通ってナンダロウって思っちゃいますね。DVDの出演女優さんにまでプロフィールページあるとは……。

兎にも角にもUI関係ベタ褒め状態となっています。
極値とは言いませんが、使い易いUIの模範的な使われ方をしている作品になるのではないでしょうか。



次に背景部分。

どちらかというとリアルよりも淡い系の背景だと思います。
背景が主張し過ぎていないので、キャラの立ち絵が引き立って良いと思います。
シナリオ部分に踏み込んでしまいますが、あまり遠出しない構成になっているので数は少なめです。
ただし天候・時間による差分が多めなので、印象よりもパターンは多いかと思われます。

ちなみに長針短針秒針が無い時計あります。個人的に嬉しかったです。



次にBGM部分。

曲数こそ少なけれど(ボーカル曲含め全18曲)、粒揃いの名曲が揃っていると思います。
特に、

・彼女の笑顔が消えた日
・別れの予感
・初恋

の3曲がとても名曲だと思います。

……と最後の最後に見ることができるサイドストーリーを見るまでなら書いていたと思います

最後の最後で聴くことができる、

・はじまりの唄~Whereabouts of budding love~

が全部掻っ攫ってしまったと思います。
要約するとピアノをメインに見据えた高ポイントの曲が多いです。

あれこれエロゲをプレイしましたが、ピアノがメインの楽曲はそれだけで強いのです。
どの辺が強いかって古さ感じにくい(感じさせない)んですよね。つまり時代を越えて変わらず楽しめる良さがあると思うのです。



それでは以下、各ルートの感想。
フォロワーさんからもお勧めされましたけど、涼香先輩→莉奈→なぎさの順で攻略することを強く強く推奨します。



・知花涼香(先輩) / CV: 香山いちごさん
(ビジュアルノベル部分SS)

好意を一切隠さず真っ直ぐで、何事も一生懸命走って進んだ先輩。

最初にルート固定が確定するシナリオ。
涼香先輩ルートに進まない=フるってことになるので、元々涼香先輩を最初に攻略するつもりだったとはいえ、2人目以降のルートに進む際は胸が痛みました。

他の2人のヒロインと違い、一切好意を隠さずストレートに表現するのが特徴。
さらに才色兼備、他人を気遣う・思う優しさがある、人を立てるのが上手いと性格的に非の打ち所がありません。

正直色んなエロゲをプレイしてきましたが、先輩系ヒロインだとナンバーワンだと思いました。
男をダメにする先輩だとピュアリケの洸先輩が当てはまるのですが、甘やかしすぎて私にはイマイチ合いませんでした。

二人とも主人公君を立てるのが上手いのに何が違うのかというと、涼香先輩は立てるだけじゃなくて立たせるんですよね。焚き付けるって書いたほうが正しいでしょうかね。

主人公君AGEはプレイヤー的に嬉しいものです。
特に主人公君に投影してプレイしているなら尚更でしょう。
ただAGE過ぎると段々と歪にも感じてくるのです。それだけの実力がある主人公君だとしても、やりすぎると歪に感じるのです。

その辺涼香先輩ルートはバランスがとても良かったと思います。
基本的には主人公君AGEなんですが、やりすぎの一歩手前で上手く留まっているんですよね。
だからプレイしていてひたすら心が気持ち良かったですし、プレイ後の余韻はとても心地良かったです。

父との確執がシリアスパート部分。
そんなにシリアス過ぎることが無かったですし、比較的早い段階で解決するのでほど良いアクセントになっていると思います。
どちらかというと、涼香先輩は主人公君に溺れて、主人公君は涼香先輩に溺れてどんどんダメ人間になるほうが見ていて心配でした。

イチャラブ部分は場所を選ばずどこでもかしこでもキスを求めてくるのがひたすら可愛かったです。
あと年上キャラが発言する「かわいい」の破壊力といったらもうね……いやごちそうさまでした。

Hシーン部分で感想を書くと、正直3つのHシーンよりもお風呂場の場面のほうが実用性あると思います。
シーン内容じゃなくて背徳感でゾクゾクっと来るんじゃないでしょうか……。

Hシーンは涼香先輩に限った話ではありませんが、構図が上手く、描写が長く、イチャラブ度高ということで実用性は極めて高いと思います。焦点失った瞳差分があるにも高ポイント。

恋愛模様は一番波風が立たずに終わるエンド。
元々皆から好意を寄せられている系のシナリオなのでその辺避けられない展開です。
しかし涼香先輩のキャラが強いので、「これは白旗を揚げるしかない」と思わせるような流れになっているのでそれなりに納得させる流れに持って行っていると思います。

主人公君が恋人・伴侶であると同時にパートナーでもあるということが十二分に伝わってくるプロフィールエンドはとても良かったです。
ファンディスクも買ったので、プロフィール部分の中盤部分はファンディスクをプレイした際に楽しもうと思います。

最後にもうひとつ。
水着の時に頭に何つけているんですか……破壊力凄まじすぎてひれ伏しちゃうでしょ。



・小松莉奈(幼馴染のひとり) / CV:秋野花さん
(ビジュアルノベル部分A+)

最初から最後まで変わらなかった幼馴染。

変化を求める私的にはあと一歩だった印象です。
ただそれが必ずしも悪いのかというとそうでもなく、こういう幼馴染キャラだからこその良さがあると思うのです。

2人居る幼馴染の中ではバランサーの役割……のように見せかけてピエロというか一歩引いた立ち位置で見守る幼馴染。
特に瀬古君のサイドストーリー1の莉奈はとても魅力的に感じました。3人のうち、莉奈もまた支えているんだなーと感じる良シナリオだと思います。

最初から最後まで変わらなかったからこそ、告白シーンはとても良い味が出ていたと思います。
夕陽の告白シーンに弱いんですよね私。それでいて恋人になるまでも、恋人になってからも変わらない、変われないキャラを最大限活かしていたと思います。

恋愛模様はなぎさとの確執……と書くと盛大に違うのですが、譲り合いとも遠慮とも違う、消極的な自己主張のお話に。
互いが主人公君が大好きであるのを知っているので、一歩踏み出せない恋愛模様となっています。
ならその位置関係を変えるものは何かっていうと、選ばないほうのヒロインが押しだしてくれるんですよね。

最初2人目はなぎさルートで進もうと思っていたのですが、とある選択肢で莉奈を選ばざるを得なくなりました。
そこで事実上ルート固定になったのですが、あれはズルいと思うんですよ……『オススメ』って書かれてたらそりゃ確かめたくなるじゃないですか。鋼の心が欲しいですorz
(後に全部莉奈よりになるように再プレイしました)

イチャラブ要素ではキスで失神するのがとてもグッと来ました。
というかどのヒロインのルートに進んでも、主人公君キス魔過ぎません? キスだけで失神させるってどんだけなの……。
あとヒロインの中で唯一ウェディングドレスの1枚絵があります。むちむちな見た目も相まってとてもグッと来ましたです。

莉奈だけは大きい不満がありまして、添い寝シーンがありません。
涼香先輩となぎさにはあって、莉奈には無いってそりゃねーですよorz ベッドでHするのは添い寝とは言わないんですよorz

あ、あともうひとつ。
莉奈はサイドストーリーで妹の莉香ちゃんが出てきますが、保育園児には見えません。
性格的にもそうですけど、見た目小学生か中学生でしょ……ぶっちゃけ。莉奈が隣にいるおかげで大きさ的に比較したらそう変わらないデスヨ?

プロフィールページのアフターは一番静かな半生だったんだなーと。
一歩引いた位置から見守る度がとても高くて、読んでいるだけでほんわかとしましたです。



・星野なぎさ(幼馴染のひとり) / CV:歩サラさん
(ビジュアルノベル部分SSS+)

目標を見つけ変わって行った幼馴染。

ルートロックはありませんが最後にプレイするのを推奨します。
理由は以下の2点。

・明かされなかった裏側の話が明らかになる
・EDなど演出が別格。事実上グランドルートのような扱い

特に今まで明かされなかった部分が明らかになっていくのは、シナリオゲーをプレイしているようで先が気になってしょうがなかったです。
シナリオゲーと違って直ぐに明らかになるので、ずっと追いかける必要がないのは◎。そりゃシナリオゲーで金賞受賞するハズですよ。

ギミックが明らかになる仕様上、なぎさとのイチャラブ部分を若干喰ってしまっているのをマイナスと見るかは人次第。
けれど私はプレイしていて面白いと思いました。特に感じなかったピースがひとつひとつ埋まっていくのは見事の一言です。

静かでずっと一歩後ろを歩いていた幼馴染。
後ろから横に進む過程はひたすら尊いものを感じました。そして莉奈ルートとは逆に、莉奈が後ろを押してくれる展開は感動の一言です。

ただそれはあくまで中盤の話なんですよね。
色んなことが明らかになっていく、そしてなぎさの可愛さがさらに引き出されていく展開から鑑みると、まさに莉奈が一歩押してくれたのは一歩前に踏み出す勇気を与えてくれる名場面だと思います。
犠牲ではなく応援、たとえ恋に破れたとしても変わらない三人の距離感。幼馴染だからこそできるシナリオ展開ですよね。

なぎさルートの告白以降は添い寝シーンが特に良い味を出していたと思います。
特に後半である事実が判明しますが、そのあとの添い寝シーンは特に良かったと思います。

なぎさ自身の魅力が上がり、さらに各サブキャラ、シナリオピースの魅力も上がると文句の付け所がありません。
さらにエンディングが特別仕様になっているのは恐れ入りました。それまで他のヒロインの1枚絵が1箇所埋まらないんですよね。
選択肢を間違えたのかなーと思っていたのですが、こういうギミックになっているとは平伏するしかないです。

さらにエンディングを見終えると、そのままタイトル画面が変わる演出があります。
これがまたズルいんですよ……全ルートに言えることですが、タイトルが『キミのとなりで恋してる!』がちゃんと活かされているんですよね。
プレイ前とプレイ後で変わらない単語でありながら、かかる言葉の重みは全く変わってしまったと思います。
本当に上手いタイトル付けだと思うんですよ……3人のヒロインだけかと思ったらそうじゃなかったドラマ性が潜んでいたんですね。

HシーンはHシーンの前に莉奈と恵が近親相姦ゴッコを大声でするシーンがあるんですが、
そこを見て(Hする時、声筒抜けじゃね?)と思っていたらやっぱり筒抜けなのが後に明らかになります。
どのルートに進んでもそうですけど、主人公君絶倫でスゴいですよね。色々と。
なぎさの場合は受身のプレイが多いように見せかけて自己主張をハッキリ行うタイプなので、攻守の入れ替わり立ち替わりが面白かった(?)です。

なぎさルートはなぎさがヒロインで彼女が段々と変わっていく過程が描かれていますが、
それ以上に主人公君が変わっていくのが良かったです。1ルートくらいはこういう展開欲しいなーと思っていたら全部願望が叶ったような展開になっていますね。
プロフィールページを見ればその辺顛末が描かれているので、是非ともクリア後はなぎさのプロフィールページを見て欲しいなーと思っちゃいました。









(以下さらに踏み込んだ感想)









・瀬古勝彦(親友) / CV:古河徹人さん

辛辣な性格に相応の大きい理由を持ったランナー。

エロゲだとお馴染み男性のお友だち・親友枠。
エロゲで出てくる男性のお友だちって主人公君を立たせるためか変な性癖だったり三枚目だったりで「そこが無ければモテるのにー」な感じのキャラ付けがなされていることが多いです。

瀬古君の場合は一言で言うならストイックな性格。
それでいて理由がわかるまでは割と恋愛的な意味合いで主人公君のことが好きっぽそうに描かれています。

誰か1人のヒロインに告白した段階だと思いますが、サイドストーリー1がアンロックされて真相が明らかになります。
が、あくまでそれは表層なんですよね。
どうして父親のことを毛嫌いするのか、どうして女性に対して辛辣なのかの真相がなぎさルートを進めることでようやく明らかになります。

……うん、そりゃ父親のことを毛嫌いするや、と思いました。
けどそれらもさらになぎさルートを進めることで、また瀬古君のプロフィールのアフターエピソードを見ればさらに印象が変わります。
さらにサブキャラのうちのひとりのプロフィールを読むことでさらに印象が変わります。

つまり、『キミのとなりで恋してる!』というタイトルは瀬古君にも掛かっていたことがわかります。
瀬古君のプロフィールのアフターエピソードを見て、瀬古君ルート欲しいなーって思っちゃいました。
別に男色的な意味じゃなくて、アフターエピソードをビジュアルノベルとして見たいって気持ちですね。ファンディスクで瀬古君のサイドストーリーがあるのがわかっていますので、そっちに期待をしたいと思います。

瀬古君のプロフィールの最後の3行は見事の一言。
最初と最後で一番印象が変わったキャラだと思います。



・関谷千代(祖母) / CV:草村ケイさん

なぎさルートの中核を全部持って行ってしまったお婆ちゃん。

そもそもこのゲームって、千代お婆ちゃんの嫁作れ宣言から展開していきます。
その際、主人公君と恵の両親の遺言がスタートラインになるんですよね。

最初見た時はギャグかと思った展開ですが、なぎさルートの中盤で見えなかった部分が明らかになります。
ギャグかと思ってしまうような遺言にはちゃんと意味があり、だからこそ主人公君を焚き付けたんだなーと判明します。
この辺ズルかったですね……とな恋をプレイして何度か泣きましたけど、最初に泣いたのが遺言の真相シーンです。

「ありがとう」

ズルいですよ……もう……。

あとどのルートを進んでも千代お婆ちゃんは見事な立ち回りを演じます。
けれどそれらは全部裏打ちがあるからこその行動ですし、2人を心の底から愛しているんだなーと伝わってきます。

なお、なぎさルートの途中で千代お婆ちゃんに関してシリアスパートがあります。
が、まさかこれで……とは思わなかったので、予想が当たってホッとした反面ずっこけました。理由が理由だったので。



・関谷秋人(主人公) / CV:なし

大切な人を守るために『優しい選択』を選んだ主人公。

ボケもツッコミもできる超優良主人公君だと思います。
地の文でツッコミしまくってますが辛辣ではなく優しさを感じるツッコミなので悪い印象を一切覚えません。

それでいてどうして陸上の選手ではなく、マネージャーになっているのかという点がおぼろげに明らかになっていきます。
別に走るのが嫌になった、とかそういう理由じゃないんですよね。暖かくて優しい理由のために選手を辞めたのです。
それを打ち消して選手に戻るなぎさルートはとても良かったですし、ペースメーカーとして涼香先輩を支援し続けた涼香先輩ルートもとても良かったです。

けど本質的に良かったと思うのはじゃないんですよね。
根底にあるものはそうじゃないんですよね。

悪とも犠牲とも違いますけど、本当に大切な人を守るために自分を手放していたところに胸を打たれました。
そしてそのために女性に甘えることをしないで育った故、各ヒロインルートに進むと甘えていく描写は裏打ちと良さをさらに引き出していたと思います。

エロゲでは比較的珍しいと思いますが、1枚絵で瞳が描かれている主人公君です。
瞳が優しいんですよね……線の細さのようなものを感じさせない、暖かさが滲んでいる良い風貌だと思います。

優しいが故に手離していた秋人君が、ヒロインを好きになったことで少しずつ変わっていく……。
『キミのとなりで恋してる!』がヒロインたちに掛かっているだけではなく、主人公君にも掛かっていると思いました。
ただ気体が液体、固体になるには条件が必要なように、気持ちが定まるまでじっくり時間をかけているので、どちらかというと『してた』と過去形にするほうが似合っているのかもしれません。














・関谷恵(妹) / CV:あじ秋刀魚さん

妹ちゃんに始まり、妹ちゃんに帰結する物語。

トリックスターのような立ち位置で、終始場を乱していくキャラです。秋人君の乳首大好き。
何処まで真面目で何処まで不真面目なのか、最後の最後までわかりませんでした。全部ひとつの理由に結び付く真面目な気持ちだったんだなーと。

プレイする前はぶっちゃけ恵を攻略したいなーと思っていました。ヒロイン3人なのでルート無いの存じていたんですけどね。
この手のゲームって実は妹ちゃんが主人公君のこと大好きなんでしょーって先入観がある(身も蓋も無いですが)ので、多分恵もその例に漏れないんだろうと思っていました。

色んなキャラが登場しますが、唯一名前の由来が明らかになるのが恵です。
これがまた重いんですよ……恵って漢字の持つ意味ではなく、2人の父親の身辺事情が理由ってのがまた重いんですよ。

恵の見せ所はなぎさルート、そしてサイドストーリーにあります。
というかなぎさルート、事実上終盤は恵ルートと化している節があります。恵がどうして秋人君を困らせているのか、その理由がちゃんとあったんですよね。

最大の見せ場だと思いますがサイドストーリー2で全部持っていかれた感があります。
正史って書き方をすると本当はダメだと思うのですが、なぎさルートのアフターストーリーが恵のサイドストーリーになっています。
恵の気持ちはなぎさルートで明らかになりますが、そこからさらに踏み込んだ話になるのがサイドストーリー2です。

まさか既になぎさと恋人関係の秋人君に対して、あのような台詞が飛び出すとは思いませんでした。
しかもそれに対して秋人君、怒るどころか謝るんですよね。恵は秋人君に『勝てない』んだなーって見事な描写になっていると思います。

正直なところ、上でも書きましたがプレイ前は恵ルートあったら良いなーって思ったんですよ。
でも全ルート終えると、恵ルートが無かったからこそ良かったと思わざるを得なかったです。こうして書くと酷い人間だなー私って思っちゃいますね……。

妹だからこそできる立ち回り。
妹だからこそできる呼び方。
妹だからこそできる距離。

それらが全て完璧なバランスで成り立っている、凄く良いキャラクタだと思います。

なぎさルートで主人公君の背中を最後に押してくれるのが恵なんですよね。そのまま特殊EDに突入するのでなぎさルートか恵ルートかよくわかんなくなりました。
そしてサイドストーリー2ですが、クリアするとさらにタイトル画面が変わる演出が入ります。
これがまたズルいんですよね……どの辺がズルいかって、3人はそれぞれ誰かを見ていますけど、恵は誰も見ないで前を見ているんですよね。
それでいて秋人君の直ぐ隣にいるんですよね。「キミのとなりで恋してる!」は結局恵に一番掛かっていたんだなーと思わざるを得なかったです。



というわけでキミのとなりで恋してる! の感想でした。
終始イチャラブを楽しめるキャラゲーだと思ったら、計算し尽くされていたシナリオゲーだったのでござるの巻。そりゃ金賞取っちゃうわけですよ。

プレイ後の余韻がとても心地良くハンカチ必須。
ミドルプライスでプレイ時間がそこまで長くないのもあって、万人向けで楽しめる神ゲーだと思います。

強いて難点を挙げるとするなら上でも書きましたが背景の種類が少ない=世界観が狭いことが挙げられます。
でも広くて浅いのに比べれば狭くて深い世界観になっているので、ミドルプライスなのも考慮すれば上手い采配じゃないかなーとも思います。



既にファンディスクを購入済みですので、このままファンディスクをプレイして行こうと思います。……恵の気持ちを考えるとちょっと辛いんですけどね。