2016年にプレイした主なエロゲの感想を書いていきます。その4。

一応今回で終わりです。他にもプレイしたエロゲはあるんですが、
例えば1ルートだけクリアなど、半端なのでゲーム全体の感想がかけません。

主観なので世間一般の評価とはかなりのズレがあると思います。
あと今回の記事、ある程度伏せてはいますが特に後半がネタバレ多めになっているのでご注意ください。

最後の一本はAmenity's Lifeです。





10.
Amenity's Life ( HOOKSOFT様 )



クラス評価:S+(SSS~E判定)
(2017年10月21日クラス評価修正)


A.はじめに

Like Life、FairlyLifeに続くHOOKSOFT様からリリースされている、擬人化がシナリオの核を担うLifeシリーズ第三弾ですね。
Amenityには心地良さや快適さ、といった意味があるそうです。
全体的に不快感を与える要素が低めのこのゲームにピッタリの単語だと思います。

私はLike Lifeはプレイ済み、FairlyLifeは未プレイですが大雑把なネタバレは知っている感じ。
少し思い出語りをすると、Like Lifeをプレイした当時はフューチャーフォンを使っていましたが、擬人化しないかなーとあれこれ妄想した限りです。
ちょうどFairlyLifeがDMMさんのDL販売で期間限定の半額セールを行っているので、興味がある方は手に取ると良いかもしれません。

さて、Like Lifeをプレイしたことがある方ならご存知だと思いますが、
モノが擬人化するのと同様に、擬人化したモノがモノに戻る展開がLike Lifeにはありました。

が、Amenity's Lifeにはそういう辛いシリアスな展開はありません。
擬人化してモノが人になることはあっても逆はありません。正直ココの部分が無かったのは寂しかったんですが同時に嬉しかったです。
Like Lifeだと姫子シナリオ、あとりシナリオでオイオイ泣いちゃいましたからね(椿シナリオも結構クるものがありましたね……)

もうひとつ。
擬人化するには何かしらの因果関係がLike Lifeではありましたが、Amenity's Lifeでは特に語られません。
モノが持ち主に対して恩返しをしたいから人間になった、というくだりはありますが、具体的なプロセスは語られません。

ですので上記の人からモノに戻らないくだりも含めて、全体的にあっさりした仕上がりになっています。これをプラスと見るかマイナスと見るかでシナリオの評価は大きく変わるでしょう。
私はプラスとして見ました。さすがに因果関係はもう少し掘り進んで欲しかったですが、悲恋に終わるラストが無くてホント良かったです。


さて、擬人化系と言えば単にモノが人間になっただけではなく、元々のモノの特性がいかに活かされるか、これに尽きると思います。
Amenity's Lifeでは核になる人物が2人います。表と裏、対になった感じでかなり良い感じですね。
サブキャラも擬人化したキャラが沢山いますが、元々の特性を活かすというよりは性格付けで活かされている感じなのでいまいち不完全燃焼感を感じます。
ですので擬人化部分を期待しすぎると肩透かしを喰らうと思います。


あと特筆すべきこととして、全体的にSMEE様っぽい雰囲気を感じます。

元々Lifeシリーズは全体的にギャグ多めでしたが、ディレクションが宅本うと先生、ライターさんの一人がフレラバの松倉慎二先生ですのでSMEE様風味に舵を切ったのではないかと思われます。
コミカルはコミカルに、イチャラブはイチャラブに、山と谷の使い方がとても上手い会話運びになっています。

あと主人公君の久瀬怜二君はどちらかというとキャラが立っていませんし良識を弁えるタイプですが、毒舌になったり容赦ないツッコミもちょくちょくするので決して目立たないタイプじゃないのが良いですね。
端的に書くなら主人公君はHOOKSOFT様系列、他キャラ全員がSMEE様系列といった感じなのが、私は的を射ていると思います。



B.UIについて

UIはSMEE様より発売されたカノジョ*ステップとほぼ同じものが使われています。
(SMEE様はHOOKSOFT様の系列ブランドです)

個人的に嬉しいと思ったのはカノステのレビュー記事では言及しませんでしたが、マウスの右クリックでメニュー画面に飛べる部分。
SMEEさんのゲームと同じでゲーム画面にセーブ項目がありません。
ですので2アクション以上セーブするために必要になりますから辟易していました。

カノジョ*ステップもAmenity's Lifeも右クリックによるメニュージャンプは直前に使っていたものが繁栄されます。
ですのでワンアクションでセーブに飛べる設定は良いと思いました。
(欲を言うならゲーム画面内でもセーブ項目は出して欲しかったです)

セーブ枠は190+クイックセーブの10箇所を合わせた200箇所。
更にイベント毎に見直しができるRecollectionsモードが搭載。とても親切な造りです。
特にRecollectionsモードはどのイベントを見ていないのか一目でわかる造りになっていますので、コンプリートの難易度は低いと言えるでしょう。


カノジョ*ステップと同じくヒロインを行動パートで選ぶ形で好感度を上げていきます。
カノステと違うのは、

・1度の行動可能時間で3回行動できること。つまり最大3人同時攻略が可能です
・カード形式でサブイベントも一目でわかるようになっていること
・イベント内で選択肢は無いので好感度を楽にあげられること

と全面的にカノジョ*ステップの悪かった点がブラッシュアップされている感じです。
選択肢が無いのでヒロインを攻略している感は減ってしまいますが、優しさを全面だししたって感じで良い調整だと思いました。

上記のようにヒロインをカード形式で選んで好感度を上げていく形になります。
カノステのように3ヶ月間を使うのではなく、5回カードを選べば告白が可能になります。
イベントの数を減らした代わりに1イベントの密度・長さはとても長くなっていますので、カノステよりも短くは感じますが薄くは感じません。

私は直接確かめていませんが、最大3人まで同時攻略が可能なので、
進め方次第ではシナリオに矛盾が発生する展開があるようです。矛盾が気になる場合はお目当てのヒロイン1人に絞って好感度を上げていくと良いでしょう。


Amenity's Lifeでは掲示板システム、Tecmaが出てきます。
Tecmaは略語で、正式名称は『 Tekuramori Electronics Communication Mobile Application 』です。
Tekuramoriとは舞台になる学園、手倉森学園のことですね。ビルの中に学園があるってとても都会感を感じます。

HOOKSOFTさんのいくつかの過去作で似たようなシステムが出てきました。
今更になってプラミニでも常時表示ができることを知ったので、近いうちにプレイを再開したいですね……。

話が脱線しましたが、イベントの半分くらいは裏でTecmaによる情報のやり取りが行われます。
RecollectionsモードではTecmaのみに絞って見ることもできます。親切ですね。

常時表示も可能ですので、シナリオを進めつつチラッと掲示板を見ながら進めることもできます。
Tecmaに書かれるのはその時繰り広げられている出来事の実況やテーマを軸にしたお話が見れますので、中々ニヤリとできるでしょう。

気になったのは『全体的に良い子』ですので、薄っぺらく見えてしまったこと。
さすがにもうちょい黒そうな展開があったほうがリアリティーが出ると思いました。あそこまで『良い子』過ぎると違和感覚えちゃいますね……。

ただこれはフォローがありまして、危険なワードは勝手に伏字にされているようですし、常に学園側が監視しているようなので、整合性は取れているとも思います。


予約特典だったと思いますがメニュー周りをヒロイン仕様に染めるヒロインパッチがあります。
各項目をヒロインのボイスがエスコートしてくれるだけではなく、特定の日にちになるとゲームを立ち上げた時に特別メッセージを聴くことができます。
今のところ時計をいじって確かめはしていませんが、クリスマスと元旦を確認することができました。

これは公式アカウント様がツイッターにて告知を行ってくださいますので、気になる方はフォローしておくと良いでしょう。



C.BGMについて

どうやら過去作でいくつか曲が流用されてると見かけましたが、過去作をあまりプレイしていない私は特に気になりませんでした。
ただそれらの曲はサウンドモードでは聴くことはできません。

あとそれらとは別にサウンドモードで聴くことができない曲もあります。
具体的には希望ルートの告白シーンで流れる、主題歌『 Love Loading!!! 』のピアノアレンジバージョンですね。
恐らくサウンドトラックでは収録されると思われますので、それまで指を咥えるかその場面をセーブして『聴く』しかないですね……。

場面に合った曲が多く、全体的にバラエティー豊かなジャンルで構成されています。
また個人的に嬉しかったのはヒロイン毎にテーマ曲が2曲あることです。派手さはありませんが可愛い曲調になるので癒されるのではないでしょうか。

特にお勧めの曲は告白シーンで流れる『泣いて、笑って』。
去年色んなエロゲをプレイしましたが、トップクラスに良い告白シーンBGMだと思います。
私の主観ですが告白シーンは切ないものでもあって欲しい(想いを伝えるから)と思っていますので、『泣いて、笑って』はとても琴線に触れる良曲だと思いました。

『 Love Loading!!! 』を含めたボーカル曲3曲はLifeシリーズらしい明るめの曲です。
ごく一部のルートでのみ流れる『 恋のパレード 』はLike Lifeシリーズで主題歌を歌ってらっしゃった橋本みゆきさんが歌われています。
凄く懐かしい感じになりましたねぇ……かかる場面がとても盛り上がる場面ですので凄く良い印象に残りました。



D.Hシーンと立ち絵・1枚絵について

立ち絵はカノステと同様、女性はとても綺麗に可愛く、男性はカッコ良くまとまっています。
そして差分もとても多いので見応えバッチリですね。

そして率直に書きます。Hシーンですが物足りないと思いました。
ヒロイン毎に1人3シーン。そして過去のLifeシリーズと違ってサブキャラとのHシーンはありません。
せめて1人4シーン、もしくは一部のサブキャラにもHシーンがあったらなぁと残念に思います。具体的にはレゾナとエレ山さんがシーン欲しかったです。
(追記:FDにて短いですがレゾナルートが搭載されています)

Hシーンそのものはいずれも2枚の1枚絵が使われていますし、
尺はかなり長めなのでそれなりに実用性はあると思います。

ただRINKS先生の1枚絵は目を細めた時に若干の崩れが見受けられます。眼を開いた時はクリクリと可愛く描かれているだけに惜しさを感じます。
特に麻帆はCGモードから見て、『左から2番目・上から2番目』、『左から1番目・上から3番目』は気になっちゃいますね……。

構図そのものは肉感的に描かれていますし、私個人はとても良かったと思います。
ただ上記のように一部の1枚絵の瞳の描かれ方が気になっちゃいます。

打って変わって普段の立ち絵や多くの1枚絵は各キャラはとても可愛く描かれていると思います。
個人的に特に好きなのが怜二君の瞳が見える1枚絵がいくつかありますが、いずれも瞳の描かれ方で純朴そうに見えるのが高ポイントですね。
(特に望希ルートの1枚絵)


個人的に特に好きな1枚絵はルート毎に列挙すると、

・美栗:イメチェン登場時、告白シーン、エピローグ(特にエピローグ)
・麻帆:キスシーン、添い寝シーン(特に添い寝シーン)
・奏:告白シーン、添い寝シーン、エピローグ(特に告白シーン)
・菜瑠:告白シーン、添い寝シーン、遊園地のシーン、クライマックス(特に告白シーン)
・望希:告白シーン、クライマックス(2種)、エピローグ(特にクライマックスシーン)

Amenity's Life全体で見ると奏の告白シーンの1枚絵はかなり抜きんでていると思います。
次点は望希のクライマックスシーンですね。良い意味で双方裏切られまくってとても心がじんわりとしました。



E.サブキャラについて

立ち絵のあるサブキャラ、立ち絵の無い名前がアルファベット表記などのサブキャラ、全員合わせると結構な人数になります。
不快感『も』あるサブキャラはいますが、不快感『しかない』サブキャラではないのがグッド。
具体的にはFairlyLifeの真鶴竜生君に該当するキャラはいません。とても良いことです。


まずは男性キャラ。
友人ポジションの細貝君と香山君。
細貝君は風貌がLike Lifeの小寺君に若干似ているので似たような感じのキャラだと思っていました。
体験版時点では細貝君が良い感じで香山君が悪い感じに見えました。特に香山君は女性蔑視の傾向が強いですからね……。

ところが製品版をプレイすると、印象が逆転してしまいました。
確かに香山君は女性軽視だったりぞんざいな発言は多いんですが、どちらかといえば空気読んでくれます。
立ち位置的に言うなら必要悪を演じているって感じの素振りも感じます。あとなんやかんやで結構気を遣ってくれるんですよね。

ところが細貝君は良くも悪くも真っ直ぐなので、空気を読めずに暴走する場面が気に障りました。
特に望希ルートで取り巻きに混じってヤジる場面はちょっと殺意に近いモノを覚えましたね……なおそのあとでバレるシーンもあるので溜飲はある程度降りました。

2人の男性友人キャラは親友というよりも悪友ですね。ゲーム内でも言及されてますけど。
でもそこが良いと思うのです。都合の良い発言だけするのではロボット感、作り物感を酷く感じちゃいますからね……。
良い所があれば悪い所もある、それでこそ人間臭く見えるのではないかなと私は思います。

ちなみに余談ですが香山君の声、最初聴いた時は森久保さんかなと錯覚してしまいました。
よく聴くと全然違うんですが雰囲気的に森久保さんが演じているっぽさを感じましたです。


次に女性キャラ。
擬人化してモノから人になった場合、例外なく女性になります。
というわけでサブキャラは擬人化した女性キャラが多数占められます。
また、『人間』の女性キャラもそこそこいらっしゃってとても眼の保養になります。

さてキャラが多すぎるので何名かピックアップして好きなキャラを書くと、

・レゾナ
・ルー
・板野先生

の3名になります。
上から順番にどの辺が好きなのか書いていきます。


.レゾナ
オーブンの擬人化。
恐らく名前はオーブン『レンジ』からだと思われます。

CGモードを閲覧するまではサブヒロインとして攻略できると思っていました。
オーブンの擬人化ですがお料理スキルが高い、ということ以外では特に『擬人化した』と思わせる要素は低めです。

レゾナの良い所は最初から怜二君に対する好感度が高く、また怜二君の家のまとめ役になっていること。
裏方とは違いますがかなりキャラが立っていますし、シナリオを動かすきっかけのような立ち回りも多いので出番も多くて良かったです。


.ルー
掃除機ロボットの擬人化。
恐らく名前はル●バから取っていると思われます。服に意匠がありますからね。

『攻略したい』んじゃなくて『守りたい』と庇護欲を駆られるタイプのキャラですね。
とても素直で良い子ですが迷子スキル持ち。迷子になる場面はかなり多く、麻帆シナリオではかなり優遇された場面があります。


.板野穂奈美
担任の先生です。
サッパリとした性格や見た目とは裏腹に可愛いめの声なのでちょっとしたギャップ感を感じます。

名前からわかりますがヒロインの一人、奏ルートではとても大切な立ち回りになります。
あとサブイベントでは肝試しイベントで可愛さがいかんなく発揮される感じですね。ある種のお約束感を感じるんですがとても良かったです。

公式サイトを隅々までチェックしていると、板野先生の説明文を読むと違和感を覚えるかもしれません。
違和感の正体はゲームをプレイしていくうちに「やっぱりそういうことかー」とヒットできましたのでちょっとした嬉しさが。

あと何気に結婚願望も持っているのでサブヒロインとして攻略できたら良かったんじゃないかなーと思います。人気投票したら結構票集まりそうな気がしましたし。



F.ゲームそのもののまとめ

ヒロインの各感想は後回しにしてAmenity's Lifeのまとめ評価を書いていきます。

まず冒頭でも書きましたがシリアスな展開はほぼありませんので、シリアスな展開が嫌いな方なら特攻して良いと思います。

イチャラブに関しましてはどのルートもとても良かったです。
この点に起きましては太鼓判を推せるお勧めさがありますね。

BGMは場面に合わせたものが多く、主張しすぎない程度に主張しているのでとても聴き心地が良いです。

UI方面はほぼカノステの上位互換と呼べると思います。
バックジャンプも搭載され、回想シーンでChapter毎のプレイバックも可能なのでアルバム感覚で見直したい時はとても利便性が高くまとまっています。

Hシーンは期待しすぎると火傷します。
特にシーン数は現在のエロゲでは少なめの1人3シーン×5人=合計15シーンなので、物足りなさを感じるかと思います。
ただシーンそのものは1シーン毎に2枚1枚絵を用いられていますし、尺も長く、肉感的に描かれているのでエロさはかなりあるかと思います。

サブキャラは不快感を伴うキャラもいますが良い所も同じくらいありますので、打ち消しあって世界観に深みを与えていると思います。
ただ従来のLikeシリーズのサブヒロインの立ち位置になるキャラが一人もいませんので、そこで物足りなさを感じざるを得ないとも思います。ファンディスク出て欲しいですね……。


ということで一言でまとめると、『予想を裏切って相当スコアが高いゲーム』でした。
期待値が元々低かったのもあって、12月エロゲのスーパーダークホースじゃないかなと。カノステよりもカノジョとステップアップしていた感がですね(ry

物足りなさが解消されていたら主観のクラス分けでSSS判定を出していたと思います。伸び代のあるSS判定ですので、次回作以降も期待したいですね。

最後に余談ですが公式認定の略称『アメズラ』は私は好みじゃないです。
Like Lifeは『ライライ』、FairlyLifeは『フェアライ』と呼んでいたので『●●ライ』って呼びたかったですし、ズラだとヅラ連想してカツラみたいに感じちゃいますからね……。



G.各ヒロインの感想

それではココからは各ヒロイン・ルートの感想を書いていきます。
便宜上、奏と望希をかなり後回しにしてプレビューしますね。


.長嶺美栗
とても空気が読める上に自分で成長していく幼馴染。
しかも学力高くお料理スキル完備。最初から怜二君結婚オーラ全開です。一人称が『ウチ』だったのも高ポイント。
一見するとヤンデレ一歩寸前のようですが越えちゃいけないラインを弁えているので不快感は特に無かったです。

演じられたのはカノステで隠しヒロインを演じた三井京子さん。
殆どデータが出てこないんですが一体どなたなんでしょ……演技力の幅がとても広いので今後も期待の声優さんになりそうです。

ゲームをプレイした開始時点では髪型が全然違うってことで、体験版をプレイした時は面食らいました。
正直髪型が変わってパッケージのものになる前のほうが好みなのですが、髪型を変える動機がとても良かったので○。

ただ髪型を変えただけでクラスメイトはおろか、怜二君からも美栗と認識されないのは不憫だと思いました。
変化する前は普段着が女子力壊滅状態なので変化したあとはとてもグッと来ました。

それだけじゃなくて空気もかなり読めるという、今までのLifeシリーズの幼馴染はなんだったんだといわんばかりの完璧超人ぶり。

幼馴染で最初から好意を抱いているヒロインといえば他のヒロインと結ばれたあと、
失恋の描かれ方で個人的に辛い部分があるんですが、美栗の場合はその辺美栗らしさに溢れているというか、諦めではないけど一歩引く、でも好きで居続けるという姿勢が雰囲気的にとても良かったです。

距離感の変化が殆ど変わらないけど変化していく過程の描かれ方がとても上手かったと思います。
特に遊園地の1枚絵のシーンから次のChapter、告白シーンまでの流れは見事。夕日に照らされた1枚絵はとても情緒的だと思います。

ベタですがクライマックスシーンはじんわり来ました。
あと破壊力があるのはエピローグですね。怜二君と背中合わせで座るという構図はグッと来ること間違いなしです。

幼馴染ということで他のヒロインのルートでも結構美味しい立ち回りを演じていると思います。
どちらかといえばトラブルの火消しに近いと思うんですが、本当良い子なんだなぁと思うと思いますよ。


.麻帆
シリーズお馴染み携帯電話の擬人化。今回はスマートフォンが擬人化しました。
猫耳っぽく機械部分が生えているのが特徴。ちなみにマナーモードなどのボタンです。
(プロローグ2より)

ちなみに機種名もちゃんと決まっていて、2014年春モデル、ElmarVicterExe、通称EVEだそうです。
(カード選択・麻帆1より)

5人のヒロインの中で随一シリアスな展開が強めのヒロイン。
といってもバッドエンドに向かうような素振りは見せません。姫子ルートの再来を期待すると肩透かしを喰らいます。

モノなのか人なのか狭間で悩むところで留まっています。
半端な印象が否めませんが、コレ以上強めるとシリアス要素大で敬遠されるかもですね。むしろ擬人化をフューチャーしていたのは別のヒロインのシナリオだと思います。

麻帆ルートはせっかく看板ヒロインなのに告白シーンで1枚絵が使われないのがもったいないなぁと。
場面が場面ですので仕方ないかもしれませんが、他のヒロインと比較すると不遇感が否めないのでなんとかして欲しかったです。

麻帆ルートで特に良かったと思うのは擬人化したヒロインとの間に子供が生まれるのか、ひとつの『答え』を出した点。
といってもあれ厳密には子供じゃなくて異母兄弟(姉妹)って世間は言うと思います。あれで2人の子供って見立てるのはちょっと苦しいのではないかなと。

あとは擬人化したヒロインが食べ物を食べるとどうなるのかの明確な理由付けですね。
麻帆は電気で動きますがそれとは別に食べ物を食べることができる(不都合が無い)のは世界観の深みが増してよかったですし。

性格は姫子にそこそこ似ていると思います。

大切にされたからモノが持ち主に恩返ししたい……という純粋な気持ち全面だしで可愛かったですね。
途中で口調がですます調から普通口調に変化していったのは個人的に残念。でも距離感の変化でよく使われる手法だとも思うので悪くないとも思います。

特に好きなのは『スマホカバー』のお披露目シーン。
全ヒロインの服装の中だと一番破壊力があると思います。なにあの人を萌え殺す殺人兵器……。

他のヒロインのルートでも美栗と同じで良い立ち回りになることが多いです。
LikeなのかLoveなのかって点で距離感は変わりますが、怜二君のために役に立ちたいって部分はひたむきさを感じますよね。


.香山菜瑠
香山君の妹。香山君の性格が性格なのでかなり不憫な過去を送っています。
性格は前のめり且つポンコツ。あーもう見ていられないと手を差し伸べたくなっちゃいますね。

5人のヒロインの中で一番怜二君を好きになっていく過程がもうちょっと欲しかったなぁと思いました。
フォローはあるんですがあれで好きになっていく動機付けは薄いのでないかなと。電車内の1枚絵で急激に意識しちゃうってのはわかるんですが、もうワンプッシュ欲しかったですね……。

特に印象深いのは告白シーン。
夕方だったらもっと良かったですね……菜瑠ちゃんらしさ全開の良い告白シーンだとは思うんですがもうちょい情緒的なものが欲しかったです。

菜瑠の可愛さが如実に出てくるのは最初の添い寝シーン以降。
それまでもかなり可愛かったんですが添い寝シーンで一気に化けましたね……吹っ切れたっていうか一線越えた感じでクワーって来ました。クワーと。

他の4名に比べると派手さや盛り上がりには欠けるんですが堅実にまとまっていて良かったです。
盛り上がりとは違うんですがChapter10で中々の爆弾発言が飛び出して「マジで!?」って思っちゃいました。


.藤堂望希
中々見かけない男装の麗人……とまでは行かないんですが、とにかく●塚って感じの性格。
と思ったらやはり根っこにあるのがそれだったってことで面白いシナリオです。

本人は至って真面目なんですがシリアスなギャグと言いますか、どっから突っ込めばいいんだーと言わんばかりに終始ギャグ展開です。
なのでイチャラブ要素は他の4人に比べると低めです。恋人関係というより相棒の関係って言ったほうが正しいですねぶっちゃけ。

口調は丁寧、物腰も柔らか、けれど何処か芝居がかってしまうため、距離感が中々掴みにくいです。
不意を疲れるとボロが出る感じで可愛さが滲み出てくる感じ。可愛いだろうなーって思うんですけど中々想像しにくいです。

見せ場大きく3つだと私は思いました。
告白シーン、クライマックスシーン、エピローグですね。
いずれも望希が女性らしさを全面アピールする展開です。特に告白シーンはBGMが3曲使われる凄い力の入れ様です。

そしてクライマックスシーン。
それまで『王子様』だった望希が『お姫様』になるっていう、この手のキャラだとお約束の展開なんですが舞台の作り方から演出まで凄かったです。
何故かってココのシーン、1枚絵が2種類使われる大盤振る舞いですからね……それも望希の『お姫様姿』が凄いのなんのって感動しちゃいましたよ。

盛り上がりに盛り上がったままエンディングに進み、
そのあとのエピローグで更に「うおおおおお!!!」な展開で期待値を遥かに上回ってくれました。
オンオフというか、『王子様』と『お姫様』の二面性でプレイヤーの心を鷲掴みにすると思います。中々見ないタイプのキャラとシナリオでひたすら面白かったです。

1枚絵が使われないシーンだと母親との三者面談のシーンが面白かったです。
堅苦しそうなお母様だと思ったら職業そういうことかー! と納得させる強さが良かったです。お母様もクセのあるキャラで面白かったですね。


.板野奏
Amenity's Lifeの真のメインヒロインと言うべきヒロインだと思います。

まず担任の先生の名前が板野穂奈美なのに、両者のキャラ紹介ページでは関係性が一切書かれていません。
ってことは奏は絶対何かあるって予想が付きました。実際それは当たっていたんですが正体までは読めなかったです。

奏シナリオをプレイする時はカスタムメニュー設定を奏にしないことをお勧めします。
プレイしてから振り返ったら色々『察して』と言わんばかりのワードのオンパレードでしたからね……。

奏は他の4人と違い、大きく『舞台』が途中で変化する面白いギミックがあります。
カミングアウトしてから徐々に流れがシフトしていくんですが、カミングアウトするシーン――つまり告白シーンはAmenity's Life最大の見せ場だと思います。
夕日を背に胸に手を握り、勇気を出している感が強く出ていて尊いですね。
構図がやや斜めになっているのもポイント大ですね……いやはやこの1枚を見ただけで結構な元を取れた気がしました。

ぶっちゃけ奏の正体が正体だったので他の4人のルートをプレイしていた時は胸が痛みましたね……。
美栗は『前向きな失恋』ですけど、奏は『諦めの失恋』ですからね。似ているけど悲壮感が全然違います。

そんなこんなで途中から奏の環境が大きく変化し、この先どうなるんだと気になって仕方が無かったです。
あと遊園地デートの帰りに無駄に怜二君がフラグ建てたお陰で終盤きついシリアスが来るんじゃないかと警戒しました(私は最初に奏ルートをプレイしました)。

奏ルートはシナリオの骨格もわかりやすく、王道だからこその良さがありましたね。
『家族』という単語が強く全面だしされていて、泣きはしませんでしたが何度もジーンとするシーンがあってとても暖かい気持ちになりました。
最初と最後の比較で美栗以上に成長を感じることができるのも良かったです。

クライマックスシーンからのエピローグで「イイハナシダナー」と思いました。
レイ太って名前は怜二君から取っているんでしょうね……最初から最後まで温かい気持ちでプレイできましたです。

他で特に好きなのは添い寝シーンの構図。
エロゲだと添い寝シーンって大概ヒロインが全裸のパターンが多いんですが、奏の場合は全裸ですがシーツで身体を隠す構図があって可愛さで死にそうになりました。
是非とも他のゲームでも拝見構図ですね……ありそうで無かった構図なので破壊力が凄かったです。

ということで、可能なら奏ルートは後に回すことを私は推奨します。
奏の正体は薄々わかっていましたけどココまで化けるとは思って無かったので……そこだけがAmenity's Lifeをプレイして悔いが残った点です。



ヒロインの個人的な好みは、

奏>美栗=麻帆>菜瑠=望希

シナリオの個人的な好みは、

奏>望希>美栗=麻帆>菜瑠

でした。シナリオもヒロインの可愛さも奏がぶっちぎってしまった印象。
菜瑠は意外性のある部分もあるんですがパンチが弱かったですね……もうちょい見せ場が強かったら良かったのですが……。
(終わり)